『極黒のブリュンヒルデ』3巻を読んだ

極黒のブリュンヒルデ 3 (ヤングジャンプコミックス)

極黒のブリュンヒルデ 3 (ヤングジャンプコミックス)

相変わらず面白い…ですが、手放しでは絶賛しがたいですね。
エルフェンリート』ではグロテスクの力技でSF考証をすっ飛ばしていた印象なんですが、
この作品では割りとその近辺のタームを積極的に取り入れています。
ただ、不慣れなせいか、なかなか違和感を持つことがあり。

例えば1巻の「まさかお前、素因数分解ができるのか?」「へぇ〜物知りやんか兄ちゃん」という会話、
ストーリー抜きでこれだけ抜粋するとなんだこの会話は…という気分にさせられます。無論、小学算数レベルじゃんと
突っ込む訳ではないのですが、単語自体は幅広くて、また暗号解読を目的とする場合には巨大な素数であること。
これの説明も直後になされていますが、それにしても「素因数分解ができるのか」とシンプルに先行させるのは単語の使い方としてハイリスクかなと。

まあ列記とした不満があるのはこれだけで、他に「結晶性の化合物」とかでも曖昧な違和感がありますが、単に岡本倫先生のSFイメージが
完全に『エルフェンリート』なので、新規にこういった単語を投下されていることに新鮮さを感じているだけの面も恐らくありますね。
ただ現時点では『エルフェンリート』の方が好きです。

あとは…圧倒的なまでに主人公中心に物語が動き回っているため、そろそろ食傷気味。『エルフェンリート』『ノノノノ』より長期的な連載を
狙っているためかもしれませんが、それでも画一的なやり取りの反復が苦しくなってきています。
批判ばっかりなので褒めを入れますと、2巻の時点で欲しいと思っていた主人公以外の一般人キャラを、それもかなり魅力的な形で加えてきたので、
大満足してます。また主人公中心の物語にしても「一蓮托生」のテーマを活かしているとも言え、さほど欠点には感じません。

とはいえこの作品は比較的に死者がかなり少ないですね。いまはヒロインらが正気であり、狂気の部分が見えた瞬間に殺戮が始まる、
という予想図があるのかもしれませんし、やはり現時点ではコメントが難しい。ついでにアニメ化希望。