『桃華月憚』全セリフ:制作No.01「桜」

制作No.01「桜」
・脚本:望月智充 ・作画監督:近藤源一郎
・絵コンテ:山口祐司 ・演出:吉田俊司

【アバン】
ナレーション「桃華月憚

【Aパート】
ナレーション「サブタイトル 桜」

桃香「みんなが望んでいたのは、こんな風景だったのか。これは、当たり前の世界、ってやつなのか。」
由美子「もしもし?」
桃香「ママ?」
由美子「桃香ちゃん?桃香ちゃんなの?」
桃香「ああ」
由美子「桃香ちゃん、夕べは帰ってきたっけ?一晩でも会えないと、由美子寂しいよ〜」
桃香「ごめん。帰ったけど、ママには会わなかった。」
由美子「…ひどーい。もしかして、嫌われちゃった?」
桃香「まさか。ママのことは、大好きだよ。決まってんだろ?」
由美子「よかった。由美子もね、大好き。(チュッ)」
由美子「そういえば桃香ちゃん、あなたもう、いくつになった?」
桃香「さあ」
由美子「近頃不思議なことたくさんあって、なんだか色々、曖昧なのよね〜」
桃香「そうだなぁ…俺は、ずいぶん長く生きていたような気もするし、昨日生まれたばっかりにも、思えるよ。」
由美子「今日は帰ってくるの?もう少ししたら、寧々ちゃんにご飯の支度をさせなくっちゃ。」
桃香「俺がいなくても、ママは大丈夫だろ?」
由美子「大丈夫じゃないよぉ、桃香ちゃん。」
桃香「ママ…ママ…」
由美子「桃香ちゃん…」
桃香「ママ…」
由美子「桃香ちゃん…」
桃香「ママ……」
由美子「桃香ちゃん……」
桃香「(俺に役目があるとしたら、もう、それは終わっちまったんだ。な?桃花。)」

桃花「デートってさ?」
桃香「あ?」
桃花「もしするとしたら、何をするのかな?」
桃香「知らねえよ。アレか?映画とか、カラオケとか。」
桃花「そんなのつまんないです。私は…えっと…ホタルが見たいです。」
桃香「(ホタル、見に行こうな、桃花。)」

寧々「由美子様」
由美子「あ、寧々ちゃん。なんだか気分が良くなったから、お仕事することにしたの。」
寧々「ご無理なさらないでください。」
由美子「うん。そうそう、桃香ちゃんが帰ってくるから、お夕飯の支度、そろそろお願い。」

益之「上巳の歌会は無事に終わったのか?」
清春「形の上では終わりましたが…もはや意味はなさないでしょう。ジュナのエネルギーは直に暴走する。」
益之「清春よ。お前は、何も感じないのか?」
清春「は」
益之「満ちておる空気が変わった。ジュナの力がもうどこにもない。」
清春「はっ…ううっ…父上!」
益之「あとで、奥宮様のところへ、行ってやりなさい。」

桃香「(もうこの世で桃花には、会えないのだから…)」
寧々「由美子様、どうなさいましたか?」
寧々「…失礼致します。」
由美子「寧々ちゃん…」
寧々「…はい」
由美子「ありがとね…」
寧々「いいえ。」
寧々「…!桃香、ちゃん…」

清春「百合子」
清春「君は…」
清春「…!百合子さん!」
清春「君は、百合子…百合子では…」

アイキャッチ

【Bパート】
清春「百合子では、ないのか…百合子じゃない、どうしたんだ…」
春彦「お父さん…!お父さん!」
清春「うぅ…百合子、じゃ、ない…」
由美子「そう。由美子は百合子ではなく、百合子です。百合子というのは、由美子の母の名前。そして清春は、由美子の父の名前。あなたは、だあれ?」
清春「私は…私は、守東、清次だ…」

鬼梗「妾が、これから先も、見ている。この上津未原の地を、これから先も、見ているゆえ…」

春彦「行ってきます」
春彦「御堂さん」
寧々「…、はい」
春彦「父の様子は…」
寧々「清次様ですね。」
春彦「清次ってさ…誰のことなんだ?」
寧々「フフ、ご心配はいりません。直に回復なさいますし、春彦くんのお父様であることにも、変わりありません。」
春彦「…まぁいいや。帰ってから、ゆっくり聞かせてもらうから。」
寧々「(御機嫌よう、春彦くん。)」

章子「今日からは、何かが違う…。二宮の妖怪変化たちの気配も、完全に消え失せている。そのせいなのか?俺の気持ちがなぜか、奮い立ってこないのは…」
真琴「章子せんぱーい」
真琴「おはようございまーす!」
章子「真琴」
真琴「気持ちいい〜。コン・アニマな春の朝ですね!」
章子「平気なのか?絹宮様だってもう、どこにも…」
真琴「平気じゃない、です…だけど、それも、桃先輩自身が、望んだことですから…」
章子「フーン、マコちゃんって、見かけによらず強いのね〜」
真琴「はいです!ブリルランテに頑張るです!フン、フン、フンフフンフフン、フフフン……」

寧々「どっかに持って行ったら、結構高く売れるかしら。…止めとこ。つまんないこと考えるのは。」

由美子「うぅ〜ん、由美子ちゃん、今日はダメダメ〜。寧々ちゃ〜ん、お茶にしましょ〜」
由美子「あ!由美子の大好きなストロベリータルト!寧々ちゃん!」
由美子「寧々ちゃん…?」
由美子「もう由美子には、何にもないよぉ…お外に、はだかで立ってるみたいだよ…。お部屋の中は、こんなにあったかなのに…、由美子、由美子は、心が寒いの…」

鬼梗「ひとつ、でーきた」

由美子「由美子には、昔ね。桃香ちゃんという、女の子がいたの。それからね、桃花ちゃんという、女の子が来てくれてね…」
寧々「(桃花ちゃんって、そもそもは、由美子様がお作りになった、小説のキャラクターなのですよ。お忘れですか?…私はもう、お暇せねばなりません。)」

桃花「以前、どこかで会ったことありますか?」
桃香「さあ」
桃花「ありますよね」
桃香「さあって言っただろ。おかしいのかお前」
桃花「私、決めてました。もう一度会えたら……もう一度会えたら、絶対に、躊躇わないって。」
桃香「何を?」
桃花「愛を…成就させることを。」
桃香「え?あ、何すんだよ、汗くせえよ、お前」
桃花「桃香ちゃん…」
桃香「どうして、俺の名前を…」
桃香「桃花…」
桃花「桃香ちゃん…」
桃香「お前、桃花なのか…」
桃花「…はい、私は…桃花です。」

ナレーション「ツヅク」

【予告】
桃香「歌、歌う。」
由美子「歌、歌う。」
桃花「歌、歌う。」
ナレーション「次回、『歌』」